世相

住民税の都市伝説はなぜ生まれるのか

どうも\(´A`)/
ちょいと税金の話でも・・

××市は税金が高いっていう話。よく聞きませんか?
大半が住民税のことを言っているのだと思います。
特に毎年6月あたりによく聞かれます。住民税は前年の所得に対して課税され、6月から翌年の5月までの間に払うものです。つまり6月から新しい金額に切り替わるからです。

・世田谷区は高い
・いやいや川崎市だって
・横浜は日本一高い!
・××町は税金が高いから役場が立派だ

はたまた、、

・府中は東京競馬場があるので安い
・大企業の本社や原発のある町は安い

本当に様々な声が聞こえてきます。

しかし、こういうお話をする人たちの特徴として挙げられるのは、「高い!」と不満を感じているのにも関わらず、自分で調べないことだったりするんですよね・・⊂(´A`)⊃

となりの自治体は?計算式は?
どういうわけか興味を持っていないんですよね。全くもって不思議な現象だなあと思っております。。

実は住民税の税率は全国一律10%です。⊂(^-^)b

どこに住もうが変わりません。

厳密に言えばわずかに違う場合もあります。

所得に対して一律10%課税されるとともに、均等割という定額の税金が課せられるのですが、この金額がわずかに違う自治体があります。
ほとんどの自治体が4000円(市区町村3000円+都道府県1000円)なのですが、例えば横浜市は4400円+1800円の計6200円です。(つまり神奈川県の自治体は全て最低800円は高いということですね。)
念のためですが、年間の金額の話です。そもそも住民税は年間の金額が決定されて、そのうえで月割で給与天引き、もしくは自分で最大4回に分けて支払いというスタイルです。

また税率についても、若干高い自治体が存在します。横浜市では10.025%となっています。

これは、地方税法の規定で、必要がある場合には上乗せできるとなっているからです。

なるほど確かに住民税が高い自治体というのは存在します。とはいえ年間数百円から多くて数千円程度の差です。ほとんど、どこに住んでも変わらないといっていいでしょう。
冒頭に羅列した住民税にまつわる井戸端会議、都市伝説などでは、万単位で違う!!との声がほとんど。そもそも数百円の違いなら大声で不満を言いません。
「○○市は税金が高いので、隣の△△町に引越ししたんですよ」などと得意げに言ってしまう人も存在しないはずです。
したり顔で、府中市や原発のある自治体の話をする人も出てこないであろうと思われます。

多くの人が「住民税は各自治体で万単位で違う」との共通認識をもっているからこそ、このような与太話が生まれてしまうのでしょう。

これらは各自治体のホームページで確認できます。

一昔前ならともかく、今はネットで簡単に調べられますから。
グーグル先生に打ち込めばいいじゃないですか。「府中 住民税」とかね。

で、早速打ち込んでみました。

府中市のホームページのFAQには、
「府中市は個人の住民税が安いのですか」→「いいえ。(中略)地方税法の規定によって定めていますので、府中市の個人の市民税が安いということはありません」
と、都市伝説というかデマによって問い合わせが多いことを匂わせる文面が出てきますw

参考:府中市HP

まあ実際に問い合わせる人は、考える頭のある人だと思うんですけど、デマを信じ込む人、多すぎやしませんかね・・・。

で、こっからが本題です\(´A`)/

このように色々説明しても「いや、そうはいっても確かに各自治体ごとに税金が違ってるんだよクソが!」
と納得しない人が多いです・・
正しいことを言っているのに、逆にこちらが間違っているかのように言われてしまうのは、なんとももどかしいものです。
思想的なこととか、絶対に正しいというものが存在しないものならいいですよ。
しかし、税金なんてものは確固とした国の制度です。正しいかどうかはすぐに判断できるものなのです。

なぜこんな都市伝説が広まり、一律だよと伝えても簡単に信じてもらえないほど、世間に浸透してしまったのでしょうか。

強固に住民税が各自治体で違うと主張する理由について、色々と仮説を立ててみました。

 

1.国民健康保険の保険料を「税金」と言っている。

自営業者や農家など、サラリーマンやその扶養家族以外が加入する国民健康保険の保険料のことを言っているのではないか。
国民健康保険は自治体によっては「国民健康保険税」と呼ばれることもあります。そして各自治体で異なる計算式を用いており、万単位で違うこともあります。

→しかし、このような都市伝説をのたまうのは、大半がサラリーマンです。国保のことを言っていることは少ない気がします。

2.税率アップのタイミングで引っ越した経験がある。

かつて住民税の税率は5~13%の累進課税でした。それがH18年より一律10%となったのです。今まで5%だった人の場合10%に変わるということは倍です。
このタイミングで引越しをした人が「引っ越したせいで住民税が上がった!」と勘違いしてしまい、そのまま月日が流れたということが考えられます。
(その分所得税が下がっているので、負担はほぼ変わらないんですけどね。)

3.所得アップのタイミングで引っ越した経験がある。

所得が上がれば税金も上がるのは当然です。しかし、どういうわけかその理屈が分かっていない人がいるんですね。
住民税は「○○市→10万円」みたいな定額制だと思っているのでしょうか。上がったタイミングで引っ越して、そのせいだと強固に思い込む人が多いのかもしれません。
税金が上がったってことは、自分が頑張ったってことなのになあ・・・(扶養家族が減ったなどの理由もありますけれども)

4.同じ給与の人との比較

ほぼ同じ給与の人と比較して、住民税が高かった。住んでいる自治体のせいではないか!
これはまあ、ノー知識の人がそのように予想してしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
給与が同じでも、扶養家族の数、住宅ローンの有無、各種保険料控除、副業などによって税金の額は変わります。
一度自力で確定申告というものをやってみると、よく仕組みがわかりますよ⊂(^-^)b

5.親、先輩、上司、知人などが言ったことを信じて疑わない

なんやかんやで、この理由が一番多いような気がします・・。

私も昔、社会人1年目くらいの時だったでしょうかね。取引先の30代の男性が「××市は税金が高いので、○○町に住んでいるんですよ」と得意気に話しているのを聞いて、
へーそうなんだーと真に受けてしまったことがあります。
今となっては、まことにアホくさい話であります・・。

世の中、かつての自分のように親や先輩の言うことを簡単に信じ込んでしまい、自分で調べようとしない人が多いですからね。(´A`)

ことさら税金と社会保険については、正しくないことが世間に浸透しています。
また身近な話題でもあるため、中途半端な知識をひけらかして気取っている方も多いので注意が必要です。

言うまでもないですが、調べるといっても、2chまとめサイトとか知恵袋じゃあダメですわな・・。
本家本元、住民税なら自治体のホームページを見て、わからなければ問い合わせましょう⊂(^-^)b

最後に一つ、ふと思ったんですけど、そんなに住んでる自治体によって税金が変わるのなら、高額所得者はみんな府中やら原発のある自治体やらに住民票を移すんじゃないですかね。
タックスヘイブンの国内版ですね。

しかしそんな話聞いたことないですよね。シンガポールとか海外ならありますけどね。

住民税がどーたらとか都市伝説で住む場所を決めるのではなく、住環境とか医療費補助の有無とか、保育園とか介護施設の充実とかで選んだほうがいいと思います。⊂(^-^)b

(イメージ画像:滋賀県大津市)

 

※この記事は前身ブログの記事(2016年5月掲載)を一部修正したものです。
あくまで当時の情報であることをご了承ください。

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