どうもどうも、
最近なにやら、AI(人工知能)という言葉が世間を賑わしていますね。
しかしRPG、特にかつてFC版ドラクエ4に夢中になっていた方にとっては、「最近の言葉」という認識ではなく、
20年以上前の少年期から知っている言葉ではないかと思います。
初期ドラクエには、現在のドラクエにはない「不思議なリアルさ」がありました。
通常、技術革新が進むにつれて、ゲームはよりリアルに近づいていくはずです。グラフィックなんかは当然そうですよね。
しかし失われていった「リアルさ」も存在するのです。
FC版ドラクエ4の「AI戦闘」もその一つです。
AI戦闘なんてその後のシリーズにもあるだろうと思ったあなた!
ちょいとレベルが足りませんね⊂(´A`)⊃
真のAI戦闘はFC版の4にしかないのです。
では、少し掘り下げてみましょうか。
AIの定義について、正直私はよくわかりません。(ITオンチです)
ただ真骨頂は「学習能力」だと思います。
あらかじめインプットされたことを延々と繰り返すだけ、というのはAIの中でもかなり狭い概念です。
しかし大半のRPGで行われているAI戦闘(オート、おまかせ、など色々な表現がある)は、上記の狭い概念のAIです。
キャラクターはインプットされた法則に従っているだけで、ステータスは上昇しても頭脳に進歩はないのです。
ところが、FC版4のAI戦闘では、キャラクターに「学習能力」が備わっているのです!!
3まではプレイヤーが全てコマンド入力する「マニュアル戦闘」だったわけですが、4になって
いきなり学習能力が登場してくるわけなのです(笑)
8bitのファミコンで・・
プレイしたことのある人は思い出して下さい。
仲間キャラクターは、初見のモンスターには手探りで攻撃します。
例えばギラ系が効かないモンスターにもギラ系を使います。
しかし、一度効かないとわかると、もう二度とギラ系は使いません。
そう、学習しているのです!
エスタークにザラキを唱えてしまうという、「あの」神官の行動もこれによるものなのです。
この「真のAI戦闘」は次作、SFC版5には受け継がれませんでした。
キャラクターは皆、初見のモンスターであっても弱点や耐性を熟知していて、一部例外を除いて無駄な行動はとりません。
モンスターの最大HPまで考慮して、単体攻撃すべきか全体攻撃の呪文や特技を使うべきかを判断します。(これは6からだったかも・・)
プレイヤーは戦闘をしやすくなりました。
初見だからといってメタル系のモンスターに呪文を使ってしまうこともありません。
しかし、リアリティの観点からするとマイナスです。
初めて遭遇するモンスターの特徴を熟知しているなんて!!
ゲームとしての面白さとリアルさとは、必ずしも比例関係にないことは百も承知ですが、
サクサク進めるゲームが面白いゲームかというと、それもまた違うのではと思うのであります。
更にFC版4には作戦「めいれいさせろ」がありません。
マニュアル戦闘に切り替えることができない、つまり細かい指示を出さずに強力な中ボスやラスボスに挑まなくてはならないのです。
これもやはり不思議なリアルさです。
激闘の中で、一人一人に細かい指示を出すことなど不可能でしょう。
なのでおおざっぱな「作戦」しか示せない。
クリフトにスクルトを使ってほしい、ミネアにフバーハを使ってほしい。
でもなかなか思うように動いてはくれないのです。
他人は思い通りにはならない。
年齢を重ねた大人でも、つい忘れてしまうような世の中の理をFC版ドラクエ4は教えてくれていたのです。
小学生にはちょいと難しすぎるかもしれないですけれども。
あのねえアリーナ。オレは確かに「いのちだいじに」と言ったよ。
でも君の持ち味はスピードと強力な打撃だよね。だったらたまたま持っていた薬草でわずかなHPを回復するより、
いつも通り先制攻撃をガツンとくらわせれば、それで戦闘終了だったかもしれない。
ほら、攻撃は最大の防御っていうし・・・
はあ?あんたの命令に従っただけじゃん!曖昧な指示出してんじゃねえよ。
現実世界の上司と部下のイライラみたいですよね。
でも他人は思い通りにはならないのです。
だから自分が変わらなくてはならない。
薬草を使ってほしくなかったら、持たせなければいいのです。
中ボスにザラキ使ってんじゃねえよ!と思っても、ベホマラーやザオリクが使えるのは彼だけ。
同じ回復役のミネアより、腕力も体力もある。やっぱり彼しかいないんです。
スクルトを使ってほしいと思ったら、勇者自らが回復呪文を使ってステータスを万全に、かつ作戦は「いのちだいじに」
先回りして考えるよりほかないのです。
部下や後輩のみならず、他人にイライラしたらFC版ドラクエ4を思い出しましょう。
大切なことを教えてくれていたFC版4のAI戦闘。
SFC版5以降のナンバリングタイトルはもちろん、同じ4のPS・DSでのリメイク版でも復活はしませんでした。(「めいれいさせろ」もある・・)
そして今後もおそらく復活しないでしょう。
「時代遅れ」ですから。
当時のプレイヤーも忘れかけている事実だからこそ、
「不思議なリアルさ」の一つとして文章に残しておきたいと思ったのであります。
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